CFIECウェビナー 「インドが見つめる転換期の世界―日本の対インド戦略に見落としはないのか?」

CFIECウェビナー
「インドが見つめる転換期の世界―日本の対インド戦略に見落としはないのか?」


日 時: 2023年9月29日 (金) 12:00~13:45
主 催: 一般財団法人 国際経済連携推進センター(CFIEC)
講 師:伊藤 融   防衛大学校 国際関係学科 教授(兼モデレーター)
      佐藤 隆広  神戸大学経済経営研究所 教授
      椎野 幸平  拓殖大学 国際学部 准教授
      奈良部 健  朝日新聞社 記者
      (登壇順、敬称略)
形 式: オンラインセミナー (YouTube Live)
定 員: 500名
参加費: 無料

お申し込みは、下記URLよりお願い致します。
https://peatix.com/event/3700835/

<内容>
今年インドの人口は、世界最多となり、経済規模においても、2030年頃までに日本を抜き世界第3位になると見込まれています。中国が軍事的、経済的な影響力で自国を中心とした国際秩序の構築を目指すなか、西側諸国はインドを中国への対抗勢力と見定めて連携強化を模索し、日本や米国もFOIPやQuadなど複合的なアプローチでインドとの関係を強化しています。

他方でインドは、中国とロシアが主導する上海協力機構やBRICSに主要メンバーとして参画し、国連のロシア非難決議では棄権、対ロ制裁へも参加していません。民主主義国側と専制主義国側の双方に深く関わり、“グローバルサウス”のリーダーを標榜する姿勢には中国への対抗心ものぞかせ、“第三の極”を追求する思惑が透けて見えます。存在感を増すインドをどう見極めればいいのでしょうか。

本ウェビナーでは、主に政治、経済、地政学的観点からインドの実情を読み解き、これまでの政策やアプローチから同国が何を目指しているのか、日本とどこまで利害が一致しているのか浮き彫りにします。そのうえで、米中競争が激しくなる中で日本はインドをどのように位置づけ、自らの経済成長に結びつく戦略を練る必要があるのか、インドとどのような関係を作ることが日本の国益につながるのか、考察していきます。

パネリストにはインドの外交・安全保障に精通し多角的な視点から研究を重ねる防衛大学校教授の伊藤融氏(兼モデレーター)、インド経済の第一人者でインドに進出する日本企業の動向にも詳しい神戸大学経済経営研究所教授の佐藤隆広氏、主に貿易、通商政策についてインドを始めとするアジアに多くの知見を有する拓殖大学准教授の椎野幸平氏、そしてインドの政治経済から文化社会まで領域横断的な独自の視点に強みを持つ朝日新聞記者で前ニューデリー支局長の奈良部健氏をお迎えします。

<プログラム>
1. 12:00 - 12:05 (5分) プログラム説明、スピーカー自己紹介 (事務局)
2. 12:05 - 12:10 (5分) 趣旨説明 (伊藤融氏)
3. 12:10 - 12:25 (15分) プレゼンテーション (1) (佐藤隆広氏)
4. 12:25 - 12:40 (15分) プレゼンテーション (2) (椎野幸平氏)
5. 12:40 - 12:55 (15分) プレゼンテーション (3) (奈良部健氏)
6. 12:55 - 13:10 (15分) プレゼンテーション (4) (伊藤融氏)
7. 13:10 - 13:45 (35分) ディスカッション・事前質問に基づくQ&A
8. 13:45 閉会

<講師略歴>
伊藤 融(いとう とおる)氏(モデレーター)
防衛大学校 人文社会科学群国際関係学科 教授

中央大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程後期単位取得退学、広島大学にて博士(学術)取得。在インド日本国大使館専門調査員、島根大学法文学部准教授等を経て2009年より防衛大学校に勤務。2021年4月より現職。専門は国際政治学。とくに現代のインド外交・安全保障問題、南アジアの国際関係について詳しく、メディアの取材に数多く応じている。笹川平和財団国際情報ネットワーク分析IINA (https://www.spf.org/iina/author/toru_ito.html)に定期的に論考を寄稿。
主要単著書として、『新興大国インドの行動原理―独自リアリズム外交のゆくえ』(慶應義塾大学出版会 2020年)、『インドの正体―「未来の大国」の虚と実』(中公新書ラクレ 2023年)。このほかに、『現代日印関係入門』(東京大学出版会 2017年)、『現代インド3    深化するデモクラシー』(東京大学出版会 2015年)、『現代インドの国際関係-メジャー・パワーへの模索』(アジア経済研究所 2012年)『軍事大国化するインド』(亜紀書房 2010年)、India-Japan Relations in Emerging Asia, Manohar, 2013, Eurasia's Regional Powers Compared – China, India, Russia, Routledge, 2015をはじめ日本語、英語での多数の共著書、学術雑誌掲載論文がある。

佐藤 隆広(さとう たかひろ)氏
神戸大学経済経営研究所 教授

1970年生まれ。同志社大学大学院商学研究科博士課程後期単位取得退学、大阪市立大学博士(経済学)。長年にわたりインド経済が直面するさまざまな経済問題を開発経済学の手法で分析。特にマクロ経済問題と貧困問題の解明に重点を置く。また日本企業がインドの産業発展に果たす役割の考察と共に、インドに進出する日本企業への聞き取り調査、日印経済関係の歴史的な分析とインド進出日本企業に関する基礎的データベースなどの構築も行う。 主な研究業績として以下がある:
単著『経済開発論:インドの構造調整計画とグローバリゼーション』世界思想社、2002年(第1回日本南アジア学会賞受賞)。編著『インド経済のマクロ分析』世界思想社、2009年。編著『インドの産業発展と日系企業』神戸大学経済経営研究所、2017年。編著『経済大国インドの機会と挑戦』白桃書房、2023年近刊。共編著『現代インド・南アジア経済論』ミネルヴァ書房、2011年。共編著『激動のインド③経済成長のダイナミズム』日本経済評論社、2014年。共編著『図解インド経済大全』白桃書房、2021年。共編著『新新貿易理論とインド経済』ミネルヴァ書房、2024年近刊。
Canadian Journal of Development Studies, Economic & Political Weekly, Economics of Governance, European Journal of Development Research, Journal of Asian Economics, Journal of Interdisciplinary Economics, Journal of Policy Modeling, Millennial Asia, Oxford Development Studies, Pacific Economic Review, Progress in Development Studies, Science, Technology and Societyなどの海外査読雑誌に掲載実績を持つ。

椎野 幸平(しいの こうへい)氏
拓殖大学 国際学部 准教授

青山学院大学大学院国際政治経済学研究科修士課程(国際経済学専攻)修了。1994年ジェトロ入会、国際開発センター(IDCJ)開発エコノミストコース修了、ジェトロ・ニューデリー、海外調査部国際経済課課長代理、ジェトロ・シンガポール次長(調査担当)、海外調査部国際経済課長を経て、2017年4月より現職。著書に、『インド経済の基礎知識第2版~新・経済大国の実態と政策~』(2009年)、『FTA新時代~アジアを核に広がるネットワーク』ジェトロ(2010、共著)、「RCEP交渉にみるインドの通商政策―インドの「未解決の課題」とは―」現代インド・フォーラムNo.49(2021)、「インド太平洋経済枠組み(IPEF)へのインド・東南アジア諸国の対応:デジタル、労働、サプライチェーンの課題」『海外事情』第71巻第2号(2023)、「RCEP利用の要因に関する分析:日本の輸入にみる考察」『国際開発学研究』第22巻第2号(2023)など。専門は貿易論、アジア経済論。

奈良部 健(ならべ たけし)氏
朝日新聞 記者

1982年、東京都生まれ。2005年、慶応大卒業後、朝日新聞社入社。和歌山、新潟、愛知、経済部、政治部などを経て、17年から22年までニューデリー支局長。インドの政治経済、外交安保のほか、文化やスポーツ、開発、ジェンダーなど幅広く取材した。バングラデシュやスリランカ、ネパールなど南アジア各国の現場からも報道した。帰国後は、自動車や電機産業、半導体、経済安保などを取材している。製造業が成長していけるかどうかが今後のインドの行く末を大きく左右し、また日本との協力関係は特にこの分野で深められる可能性があると思い、注目している。共著に『アジアの平和とガバナンス』(有信堂)、『米中争覇』(朝日新聞出版)、『トヨタ新現場主義経営』(同)など。

【本ウェビナー事務局】
国際経済連携推進センター 保科、川西