事業のカテゴリー: 寄稿

持続可能な日韓関係に向けた構想

「世界各地域から見た現下の国際情勢」

持続可能な日韓関係に向けた構想
~産業/芸術協力からの実務的アプローチ~

2025年4月1日

新国立劇場常務理事/経団連21世紀政策研究所参与
太田 誠


1.問題の所在

 日韓関係は、尹大統領の強力なリーダーシップにより大きく改善した。尹政権発足当初から経済界は、日韓国交正常化60周年の先を見据え両国関係の持続可能性の確保に向けた各種事業を推進してきた1。その一環として経団連21世紀政策研究所でも韓国研究プロジェクトを中心に両国関係のダイナミズムを加速させる実務上の諸方策を検討している。

 そこで、本稿では、韓国研究プロジェクトが模索している日韓産業協力の新たな領域を紹介する。その際、日本企業のビジネス、学界、芸術界との接点領域に位置する経済界のシンクタンクの視座から、リベラルアーツを媒介としてアートシンキング(現代舞台芸術の社会的機能)を日韓産業協力に導入することの重要性を指摘する。あわせて「社会性の視座」(social point of view)の実現を念頭に、経済界、学界、芸術界の叡智と創造力を融合させて日韓産業/芸術協力を推進する重要性にも言及したい2


2.基本的な立ち位置と新たな最先端協力領域の設定

 企業や各種団体(たとえば経団連、新国立劇場3)が、韓国との二国間関係に向き合う際の基本的な立ち位置とはいかなるものか。論を進めるに当たり、まずこの点を確認しておきたい。

 第一に、企業や各種団体では、それぞれ専門家集団が設立目的に応じた事業に専念することで利潤を求め存続している。そのため、当該業種についての専門知識と最新情報は蓄積している。しかし、いきなり持続可能な日韓関係への貢献を問われても応えづらい。

 第二に、個別企業や事業体が韓国との間で行う日々のビジネスは、結果として二国間の産業/芸術協力として認識され、その累積の結果、日韓関係全般が活性化する。

 第三に、それが持続可能であるためには、消費者や生活者のニーズ(実需)にもとづいた企業や事業体による活動が常に両国関係の中枢部で駆動していることが必要条件となる。

 日韓産業協力を振り返ると、主たる領域はモノづくり、つまり製造業であり、常にその最先端で両国企業が協調と競合を繰り返してきた。この領域では、第一線の両国企業が個別事業の集積として産業協力の束を無数に形成し全体として日韓関係の大動脈となっている。企業群は、市場原理に則って日韓関係を不断に駆動させる主要な動力源である。そのため、経済界は、両国関係のダイナミズムが失われないよう企業の事業環境の整備に注力することになる。

 残された課題は、市場原理に馴染まないと考えられている領域を実需により駆動させ持続可能な日韓関係の構築に組み込むことである。そもそも日韓の政治外交関係が極度に冷え込み北東アジアの安定性が崩れると企業活動も大きく制限される。その意味で、日韓関係の持続性そのものの中に“企業の実需”は確実に存在するはずであるが、日々、熾烈なビジネスを展開する当事者が明確にその存在を認識し日韓関係全般への視座を維持するのは容易でない4。製造業における日韓産業協力が垂直的な関係から水平的な関係に移行しすでに成熟期に入っている現在、事業体が実需を認識しながら両国関係にインパクトを与える新たな原動力を見つけ、その存在を明確化する必要がある。

 人々の日韓双方に対する関心が、風土・自然や景観、食文化、伝統芸能・工芸・文化、ポップカルチャー、現代舞台芸術を含む生活環境全般にあるとすると、現在の日韓関係を担っているのは、日々の暮らしの中で深い関心を寄せ愛好する“何か”であり、それを求めて移動する無数の人々である。そうなると、両国の人々、特に若者が双方に対する信頼と温かい感情を育くみ良好な日韓関係のメリットを肌感覚で享受できるコト/モノが新たな協力の最先端領域となり、経済界(旅行、エンターテインメント、輸送、食品等)はそのダイナミズムを促進するため芸術界と協力することになる。


3.経済界の取り組み

 消費生活における「モノの所有からコトの体験」への移行は、日韓間でも見られ双方の国で体験できる「コト」を重視する傾向が強い。両国の人々が将来にわたって相互訪問を続け有益な体験を共有できるようにするには、人の移動を円滑化する基盤づくりと合わせて双方の訪問地の魅力を高めることが求められる。経済界にとっては、地域活性化を日韓産業協力の枠組みで推進するという実需がある。

 経団連21世紀政策研究所「韓国研究プロジェクト」では、深川由起子研究主幹(早稲田大学教授)が提示したスマートシティ、スマートアグリ、地域交通、遠隔医療、地方大学間のイノベーション交流、スタートアップ交流、専門人材共同育成、地場産業の育成などの政策案件に加え5、会員企業の実ビジネスの側面から、介護、ライブエンターテインメント、観光(アウトバウンド、インバウンド)、エンターテインメントコンテンツ、現代舞台芸術などの分野で日韓双方による知見の融合を追求している。そのため、新たな実需を検討するプラットフォームとして「韓国研究プロジェクト」を位置づけ、規制改革を含むソフト、ハード両面の事業環境整備を業種横断的に検討する6


4.モデルケース「釜山」

 両国の各地域にはユニークな製品やサービスを提供する高い能力を持つ企業が存在する。これら企業は、地域の疲弊を実感する中、東京、大阪、ソウルなど大都市圏では想像もつかない(実現不可能と信じられている)革新的アイデアを実行に移す可能性が高く、究極的には、日韓の地域間協力を通した東京-ソウル一極集中の是正にもつながる。

 そのような地域はどこにあるのか。

 まず、日韓地域間協力の最先端の現状を可視化したい。ソウル首都圏以外で日本との地域間協力が体系的に行われている地域について、人的ネットワークを含むソフト/ハードのインフラを勘案すると韓国第二の都市釜山が浮上する。北東アジア港湾ハブ構想のもと福岡などとの協力を地場産業の実需を伴って進めてきた都市である。日本の主要港湾のライバルとして認識されてきたが、当選直後のトランプ氏が尹大統領との電話会談で韓国造船業への期待を述べたことで新たな成長可能性を模索している。また、国際映画祭を開催するなどアジアにおけるエンターテインメントの一大拠点となっている7

 特に、釜山に本拠地を置く東西大学では、エンターテインメントの教育研究に注力しておりソウルに専門人材を供給しているほか、近接する福岡や中国のみならず欧米との間でも学術研究/教育協力ネットワークを構築している。学術と実ビジネスとを融合させながら釜山の国際プレゼンスを高め地域活性化を実現している好例である。

 なお、日韓のエンターテインメント業界では、すでに両国アーティストが融合し制作段階からコンテンツの相互移動が行われている8。また、現代舞台芸術界でも後述のように日韓協力が加速し最も先進的な協力領域のひとつとなっており、今後、北東アジア域内への広がりも展望される9。したがって、製造業、物流に加えてエンターテインメント産業、現代舞台芸術も、釜山との実務的・政策的な協力領域となりうる。


5.新たな協力領域を支える思想的底流~社会性の視座

 こうした持続可能な日韓関係の構築作業を思想的に下支えするのが「社会性の視座」(social point of view)である。これは、持続可能な資本主義の実現を目的とする概念で市場原理一辺倒からの脱却を目指している10。先述のように市場原理に馴染まないと信じられている領域で最先端の協力を行うには、この社会性の視座を日韓産業協力の現場に明確化された形で組み込むことが不可欠で韓国研究プロジェクトのもうひとつのテーマとなる。一方、市場原理以外の視座と企業が専念する事業との間には、大きなギャップが存在する。

 そこで、韓国研究プロジェクトでは、試みとして事業者に市場原理とは別の視座から「人の移動」「エンタメ/現代舞台芸術」「地場産業」「結果としての地域活性化」を他業種との間で議論していただいている。まず事業体の生産やサービス(実需)に着目し企業の技術、製品のデザインを媒介として、日々の事業活動にリベラルアーツや芸術的思考が通底しているとの認識を明確にする。次に、それを企業や団体の設立理念(たとえば社是)と関係づけながら言語化することで個別事業の思想的側面と社会的な意義を浮き彫りにしていく11


6.日韓産業協力を〈ロジカルシンキング+アートシンキング〉で考える

 実ビジネスと社会性の視座との融合を媒介するのがリベラルアーツの機能であるが、突き詰めると〈ロジカルシンキング+アートシンキング〉に行き着く。この問題をデジタルトランスフォーメーション(DX)で考えると、例えば、街中の人流をDXの技術により捉えると感染症対策に役立つが、監視を目的として用いるとデジタル全体主義、監視資本主義につながる。DXを用いた社会制度は、その設計の基本思想次第で正反対の効果を生み出すわけで、DXをグランドデザインに位置づける作業が重要になる。AIでも同様の議論がなされているが、当該分野の専門家が承認し確立された技術的方法のみで結論を導くのではなく、この作業を市場原理以外の視座の設定プロセスと捉え経済界の発想源とは異なる領域から当該技術の社会的・倫理的影響を考えることが肝要で、リベラルアーツや芸術的体験にもとづく「感性」が求められる。この感性によって多様な考え方や幸せを追求できる社会をめざす必要がある。

 国際社会では、トランプ政権の復活とそれに伴う米国社会の急激な右傾化、通商環境の激変、ウクライナをめぐり顕在化した大西洋同盟の質的変容などが懸念される中、経済界が前提と考えてきた欧米との価値観の共有が幻想にも見えてくる。日韓双方の国内でも、少子高齢化の影響がいよいよ顕在化するほか、SNSの活用が民主主義の手続きに深刻な影響をもたらしており、資本主義、民主主義のあり方が大きく問われている。こうした価値観の変質は全くの想定外であり、既存のアプローチでは克服できない。企業も経済界、芸術界には、社会を構成する主要アクターとして思考パターンの大幅な変更が求められる。ここにロジカルシンキングを超えたアートシンキングの重要性が浮上し学術、芸術をアートシンキングの発想源とする余地が生まれる。

 欧州が提示する諸課題は、環境や人権といった“普遍的価値”の装いで提示される。まさにリベラルアーツ、アートシンキングの領域である。日韓の経済界、芸術界は、それぞれの伝統的価値観も用いながら“普遍的価値”を再定義する時期に来ている。企業の実ビジネスを思想的に下支えする新たな価値観を形成する上でも、芸術界からの示唆としてのアートシンキングをリベラルアーツの媒介で本格導入することが両国企業に求められており、このプロセスを通じた日韓関係の深化が期待される 12


7.リベラルアーツ/芸術界の実務的努力

 21世紀政策研究所「資本主義・民主主義研究プロジェクト」(研究主幹:中島隆博東京大学教授)では、哲学を媒介として経済界の経験/関心と芸術界の創造性を融合させる作業に取り組んできた。

 第一段階では、経済界首脳と中島研究主幹との対談を実施し、企業活動におけるリベラルアーツの重要性を企業人と哲学者との対話の枠組みで抽出した13

 第二段階では、芸術界の発想を導入するため「資本主義、民主主義の転換期とオペラ芸術の機能」と題して新国立劇場オペラ芸術監督の大野和士氏と中島研究主幹との対談を実施した14 15

 これら一連の対談は、世界の知性による対話を通して芸術界の創造性を哲学者の言葉で言語化し経済界の経験と融合する試みである。


8.なぜ芸術界か~劇場の創造性と社会的機能

 日本の国際プレゼンスを支える主要因のひとつが文化や芸術に対する日本人の感性とすると、欧米との共通言語としての現代舞台芸術とそれを実現する劇場の存在は日本のソフトパワーの主軸である。私見では、すでに、その視座からの再評価が始まっており、2023年度、2024年度のいわゆる「骨太」には、新国立劇場の機能が明記され、政府・与党によって日本における現代舞台芸術のグローバル展開と中小企業/地域の活性化拠点とされた16。実際、新国立劇場は、舞台制作の過程で多くの関連企業の製品・サービスを受容しており一種のアセンブラーの機能を果たしている。また、日本全国からオペラ歌手、バレエダンサー、俳優を目指す若者の日本における最終目的地、世界への窓口となっている。

 オペラ、バレエ、演劇は、音楽、舞踊、美術、文学の粋を集めた総合芸術であり、その創造性は、制作側では、演者のパフォーマンスとそれを支える美術、照明、音響、映像の専門家によって構築される。芸術界の社会的機能を政策研究の視座から描写すると、現代舞台芸術の制作・上演自体が最先端技術の集合体であり関連産業への波及効果も大きいほか、作品制作と研修事業を通じて芸術面での次世代グローバル人材育成の戦略拠点ともなっている。

 また、国内外の諸情勢を注視して上演作品の現代的意義を不断に見直している。ロシアのウクライナ侵攻の中、ムソルグスキーのオペラ『ボリス・ゴドゥノフ』(ロシア皇帝の物語)の上演可否を検討の上、上演に踏み切ったが、動乱期の権力者の姿を描き演者と聴衆が同一空間で“動乱を体験し”考える機会となった。劇場では、演者と聴衆との感性のやりとりで作品が完成する。その意味で劇場は、社会の感性を鍛錬する空間でもある。さらに常に財政的制約の中で芸術家の要請を極大化しているほか、感染症による上演中止、国際紛争による国際海上コンテナの輸送遅延、演者の来日キャンセルなどに常に向き合い対策を講じている。つまり現代舞台芸術とそれを実現する劇場そのものが現代社会を映す鏡でありアリーナである。劇場は、企業に匹敵する事業体でありその創造性は、社会のダイナミズムの源といえよう。


9. 北東アジア域内での芸術協力の試み~“劇場外交”

 それでは、現代舞台芸術界は、いかにして日韓関係に貢献できるのか。新国立劇場の取り組みを事例として検討を試みたい。

 新国立劇場では、2028年に予定されているワールド・オペラ・フォーラム(WOF)をアジアで初めて東京で開催するための準備を進めている。WOFは、世界の三大オペラ連盟(オペラ・ヨーロッパ、オペラ・アメリカ、オペラ・ラテンアメリカ)と共に開催するオペラの国際会議で、世界のオペラハウス・団体が一堂に会し、オペラに関する様々な課題・ビジョンを議論する。東京でのWOF開催は、オペラの歴史の浅い北東アジア域内のオペラに焦点を当て活性化させるまたとない機会であり、韓国、中国等のオペラ界と対話を重ね、日韓中の北東アジア域内での協力体制を整え始めている。これは、新国立劇場がかねてより韓国の芸術の殿堂、中国国家大劇院など両国オペラ界との間で培ってきた信頼関係に基づく“劇場外交”であり三国間の相互理解の深化に資する。

 北東アジアにおける芸術協力は、実ビジネスでのメリットをもたらす。まず、地理的近接性によって作品の制作・上演をめぐる域内での人的/物的資源の相互融通(演者、技術者の相互派遣、舞台装置の共同利用等)が格段に容易になり、欧州など遠隔地からの資源供給に頼る必要が減り時間とコストが大幅に削減される。また、日韓両国で人口減少の克服と国内市場の活性化が課題となる中、域内協力の促進により現代舞台芸術をめぐる各種市場の日韓間での質的融合や規模拡大も期待される。

 さらに、北東アジア域内の協力体制の確立は、世界のオペラ界における北東アジアのプレゼンス向上につながる。現代舞台芸術の分野で新たなコンセプトを確立する際、日韓中が協力することで欧州中心といわれるオペラ界にアジアの視座を提示できる。劇場は、欧州による“普遍的価値”の再検討に現代舞台芸術界から貢献できるのである。

 日韓両国ともエンターテインメント、若手芸術家の育成に注力していることから、この分野を日韓産業協力の最先端領域に位置付けその産業政策上の機能とソフトパワーへの導入策を明確化する必要がある。なお、新国立劇場では、日韓国交正常化60周年を記念し日韓合同公演を行うほか、次世代人材育成での協力を進めるなど、日韓協力を芸術領域から構築する動きを加速させている17


おわりに

 民主主義、資本主義の転換期にあって従来型のロジカルシンキングのみにもとづく既存のアプローチでは事態に対処できない。持続可能な日韓関係の実現には、主要アクターである経済界と芸術界は、欧米型“普遍的価値”を再検討し新たな価値観を模索する必要がある。その際、日韓経済界/芸術界による協力プラットフォームを構築し市場原理一辺倒からの脱却と社会性の視座の設定を進めることが肝要である。

 具体的には、若者が良好な日韓関係のメリットを享受できる地域間産業協力を新たな協力領域として創出することが有益で、その際、ロジカルシンキングに加えてアートシンキング(芸術的発想)を援用すべきである。現代舞台芸術とその実現の場である劇場は、企業と対極に位置付けられるが、同一空間で異なる文化的存在が協力して作品を創造する異文化接触/融合のアリーナであり時代に求められる感性を提供しており社会のダイナミズムの原動力である。この社会的機能を活用して日韓間の課題を新たな領域に設定し、両国の人々の実需をもとに産業/芸術協力を着実に進めることが求められるのである。


  • 1 経団連は、2023年、日韓未来パートナーシップ基金を創設し高校教師の相互訪問を経済界独自の視点から実施している。次世代の日韓関係を担う人材育成事業では、長年にわたり日韓文化交流基金、日韓経済協会などが、両国関係で指導的役割を果たす人材を数多く輩出していることから両団体の全面的な協力を得て事業を進めている。
  • 2 本稿は、2024年10月25日に慶應義塾大学東アジア研究所で行われたTOSEフォーラム国際シンポジウムにて筆者が行った報告と議論をもとに全面的に再構成したものであり、筆者が所属する組織の公式見解ではない。
  • 3 1997年開場の現代舞台芸術のためのわが国唯一の国立劇場。1806人収容のオペラパレス、中劇場、小劇場を備え現代舞台芸術(オペラ、バレエ、ダンス、演劇)の自主制作・公演を行っている。その活動を140名の専門家集団(事務局)が支えており経済界も全面的に支援している。
  • 4 隠れた実需の発掘を試みたユニークな事例が、国際経済連携推進センターによる韓国調査プロジェクト(2018年)である。文在寅政権の対北政策に着目し、全経連、韓国企業、政府系銀行へのインタビューなど現地調査を通して朝鮮半島における南北関係と企業の潜在的実需を解明し日本との協力可能性を模索することで冷え込んだ日韓関係を下支えした。
  • 5 経団連21世紀政策研究所『韓国研究プロジェクト報告』(深川由起子研究主幹 2024年)。
  • 6 慶應義塾大学東アジア研究所で開催された2024SETOフォーラム国際シンポジウム『日韓関係の未来を考える~国交60周年を超えてその先へ~』(2024年10月)第2セッションで筆者が行った報告を参照。
  • 7 BUSAN International Film Festival | 17-26 September, 2025
  • 8 経団連21世紀政策研究所「韓国研究プロジェクト」におけるテレビ関係者、エンターテインメント関連企業との議論にもとづく。
  • 9 本来ライブであるべき現代舞台芸術界でもコロナを契機としてデジタルコンテンツの活用が加速しており、今後、言葉の壁を超えられるオペラ、バレエを中心にデジタルコンテンツを通じた北東アジア域内への展開も期待される。
  • 10 『月刊経団連2022年1月号』参照。
  • 11 この試みは21世紀政策研究所「資本主義・民主主義研究プロジェクト」(研究主幹:中島隆博東京大学教授)での研究方法を援用したものである。また、新国立劇場では、経団連事業サービスが主宰する「経団連フォーラム21」の枠組みでオペラ芸術が産業社会に及ぼす影響を論じるなど経済界との接触面の拡大・充実に努めている。
  • 12 経団連21世紀政策研究所では、全経連、ソウル大学国家未来戦略院、東西大学日本研究センター、梨花女子大学との間で本件を検討している。2024年にソウルで開催された日韓大学長会議に産学連携セッションに参画し議論を行った。
  • 13 十倉雅和経団連会長-中島研究主幹対談
      『月刊経団連2022年1月号』資本主義・民主主義の行方 ─経済界と哲学界の対話
      21世紀政策研究所新書 特別対談シリーズ(1)  特別対談シリーズ(2)
                 特別対談シリーズ(3)  特別対談シリーズ(4)
  • 14 大野監督には、クロアチア紛争当時、ザグレブで空襲下、交響楽団を指揮していた経験をもとに国際社会の危機的状況で芸術が果たす機能を論じていただいた。
  • 15 本プロジェクトには、ボン大学のマルクス・ガブリエル教授に加わっていただくことを構想している。これは、ガブリエル教授からのポリティクス、ビジネス、アートの三方向から資本主義、民主主義の転換点にアプローチしたいとの提案(2022年)にもとづく。2024年3月には中島研究主幹、ガブリエル教授を新国立劇場に招聘し大野監督が指揮するオペラ公演『トリスタンとイゾルデ』鑑賞後、三者の懇談を行った。
  • 16 『経済財政運営の基本方針2023』『経済財政運営の基本方針2024』参照。
  • 17 2008年に芸術の殿堂(ソウル・アーツ・センター)とのコラボレーション企画として制作された『焼肉ドラゴン』を2025年10月に新国立劇場で、11月には芸術の殿堂で上演予定。また、韓国国立劇場および芸術の殿堂との間でMOUを締結した(韓国国立劇場とは公演映像の交換上映会開催)。なお、2024年には、韓国芸術総合学校バレエアカデミーを招聘するなどの協力も行っている。


執筆者プロフィール
太田 誠 (おおた・まこと)
新国立劇場 常務理事
経団連21世紀政策研究所 参与
日韓文化交流基金評議員

東北大学博士(学術)ソウル大学政治学修士
専門:李氏朝鮮の外交思想と行政過程論
1986年   慶應義塾大学法学部政治学科卒業
1991~95年 韓国全経連駐在 帰国後、産業政策、ロシア、北東アジア担当
2012~22年 経団連21世紀政策研究所事務局長
2014~24年 筑波大学客員教授
2022年~  現職




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