日イスラエル中堅・中小企業協業事例
(2020.11.8)
ES ジャパン株式会社
● 会社沿革
ESジャパン株式会社(以下、ESジャパン)は、日本国内でコールセンター事業を展開するセントリック株式会社による100%出資で、令和元年6月1日に設立された。イスラエルのネメシスコ社(Nemesysco Ltd.)から技術のライセンス供与を受け、国内で音声による感情解析ソリューションの開発販売及び保守サービスを提供する会社である。現在はこの音声感情解析技術を使い、コールセンター向けの顧客対応ソリューションやオペレーター教育サービス、顧客企業への従業員就業意欲評価などのソリューションを国内向けに展開している。
ネメシスコ社は、2000年にイスラエルで創業された音声感情解析分野のリーディングカンパニーである。関連分野(心理学、犯罪学、音声学、精神医学、数学など)の専門家との協調した開発体制のもと、LVA(Layered Voice Analysis: 階層型音声解析)の技術を研究開発している。根幹となるLVA技術は、声の微妙な特性に反映されるさまざまな種類のストレスレベル、認知プロセス、感情的反応を識別し、独自の数学的プロセスを使用して、声の中に隠された様々なタイプの感情パターンや異常を検出する技術である。同社は、現在世界53カ国で事業を展開している。
・先端的な音声感情解析技術を用いたソリューションを提供
・イスラエル・ネメシスコ社のアジア地区初のゴールドパートナー
・日本とイスラエルとの技術者同士の強い信頼関係を基礎にした事業提携
● 音声感情解析の世界的先端企業との協業
ESジャパンは、販売代理店契約を通じて、ネメシスコ社から基幹技術の提供とサポートを受けながら、日本市場に向けた独自のアプリケーションを開発している。こうしたイスラエル発の音声解析技術を日本に導入するにあたり、セントリックグループとして2018年から熊本大学との共同研究を実施し、10数種類の日本独自の感情パラメータを開発した。同社は、コールセンター、人事採用・パーソナリティ診断、保険金不正申告リスク検出、捜査機関での聞き取り・尋問支援、ストレスチェックといったサービスアプリケーションの開発を進め、日本市場における事業拡大を模索している。
音声による「感情解析」イメージ
ESジャパンでは、技術スタッフ3名がイスラエルを研修に訪れ、また日々電話カンファレンスなどを通じてネメシスコ社から技術指導を受けている。またネメシスコの社長と技術担当の責任者の2名が専任担当として、事業化が開始してからすでに3度来日した。こうした緊密な連絡体制と、その過程で構築した両社の信頼関係はゆるぎないものだと同社取締役の高橋泉氏は語る。
新しい技術革新が起きると、欧米から3~5年ほど後に日本市場へ導入されることが多いとされる。音声感情解析市場が欧米に比べて黎明期にある日本市場は、ネメシスコ社にとって非常に魅力的であったと言えよう。自社の保有技術を市場規模のある日本市場に展開したいネメシスコ社と、事業機会の探索において、先端的なテクノロジーを基盤に新事業を生み出したい日本のスタートアップとしてのESジャパンには、相互に事業補完関係が成立しているとみられる。
ESジャパンの提供サービスのひとつ「ESAS Core Service」は、ネメシスコ社が提供する根幹技術である『LVA7』をベースに、より分かりやすい形で多様な感情パラメータを出力するサービスとなっている。感情パラメータを使って、多様な感情の推移を様々なソリューションに組み込み、新しいサービスを創出することができる。2020年10月には、日本経済新聞社グループのIT会社である株式会社日経統合システムと共同で音声から感情を分析するサービスの提供開始が発表された。同社の今後の事業展開にますます注目が集まる。
ESジャパン株式会社 取締役 高橋泉氏(中央)
会社情報
会社名 |
株式会社ESジャパン |
代表取締役社長 |
山田 亮 |
設立 |
2019年6月 |
資本金 |
1000万円 |
従業員数 |
10名 |
住所 |
〒171-0014 東京都豊島区池袋2-50-9第三共立ビル5階 |
電話番号 |
03-5924-6380 |
Website |
編集: (一財)国際経済連携推進センター
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